ついに日本の経団連会長(経済界のトップ)が終身雇用を守り切ることができないことを明言しました。
経団連・中西宏明会長「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」
経団連の中西会長はこのように述べ、「人生100年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考えから企業も学生も変わってきている」との認識を示した。
引用 : 経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”
つまり、1社で40年勤め上げ、退職後は年金で暮らすというライフプランが実現できないことなります。
また、一部上場している大企業では管理職のポジションが埋め尽くされ、若い世代が昇進できなくなっている状況があります。
ずっと低い役職のままであることにより、年収も上がらず、業務量だけが増えていくパターンです。
1社で出世して、生涯年収を上げるというキャリアプランも実現が難しくなっています。
上記の通り、従来のライフプランとキャリアプランの実現が難しくなった今、私たちの上の世代と同等の役職や年収を、同じタイミングで得ようとした場合、1社で働き続けるのは非合理的です。
本来であれば得られたであろう収入もしくは、それ以上の収入を得るために、よく用いられる方法は以下の3つです。
- 起業する
- 副業する
- 転職する
多くの場合、起業はリスクが高いと言われており、初期費用の準備やビジネスモデルの検討など、既存の業務を並行しながら進めることを考えるとあまり現実的ではありません。
副業については、多くの企業が「副業解禁」したり、政府の働き方改革の一部としても盛り込まれていることから、取り組んでいる人も多くなりました。
しかし、副業もアルバイトのような時給のものをしても、本業への負担にもなりますし、そもそも本業が忙しい人には副業に取り組む時間を捻出するだけでも一苦労するでしょう。
そこで、最も実現性が高く、年収アップにもつながる方法が「転職」です。
私自身も元は超ドメスティックで年功序列型の大企業から、転職を2回重ねて、年収を大きく上げました。(400万円台/新卒 → 1400万円/32歳)
1社で勤め上げることが難しくなったことにより、複数の企業でキャリアを積んでいくことがこれからのスタンダードになります。
つまり、転職をしていくスキルを持つ人が、終身雇用が崩壊した後の世界では、逆に安定を手にすることができます。
- 自分の市場価値を知ることができる
- 成長分野に自分で移動することができる
- 年功序列型よりも高い年収を得ることができる
それでは詳しく解説していきます。
超有名な大企業でもリストラや早期退職を実施する世の中
2018年ごろから誰でも知っているような超有名企業が続々とリストラや早期退職者の募集をかけています。
中には最高益を出しているにもかかわらず、早期退職者を募るなど、将来を見据えた経営判断がされていることが伺えます。
2018年や2019年でさえ、45歳以上を対象としたリストラが実施されている状況です。
仮に早期退職の対象となった従業員で、1社でしか勤務したことがなく、社内でしか通用しないスキルしか持ち合わせいないとしたら…。
転職して、新しい職につくことはできるかもしれませんが、大企業で、年功序列で45歳まで上がり続けた給料と同額のオファーをもらえる可能性は極めて低いです。
年功序列で上がり続けた年収と同額のオファーがもらえない理由は、1つです。
「社内評価」と「市場評価」の乖離です。
いくら今の会社での評価が高いとは言え、市場で求められているスキルを持ち合わせていないと、社外に出た瞬間に「社内評価」の意味はなくなります。
社内でしか通用しない仕事しかせずに過ごしてきた人には当然厳しい結果が待っています。
大企業であればあるほど、業務が細分化され、業務ごとに人が割り当てられていますので、社内でしか通用しない仕事をする人の数が多くなります。
大企業での勤務期間が長い人ほど注意が必要です。
転職は常に市場価値で判断される
転職が安定をもたらす理由の一つとして、転職すると自分の市場価値が正確に分かるということが挙げられます。
上記で書いた通り、社内評価を得ることを第一にキャリアを積み上げると、リストラや早期退職の対象となった際に、一気に年収が減ります。
急激な年収ダウンを避けるために、常に転職市場における自分の価値を正確に把握しておく必要があります。
そうすることで、万が一、リストラや早期退職の対象となっても常に次の転職候補があり、想定年収もある程度把握できているので、生活レベルを急に下げたりする必要もありません。
これまでは1社で勤め上げることがライフプランとキャリアプランを安定させる方法でしたが、これからは自分自身で働く会社や、年収を決めていく、つまり自分自身でライフプランとキャリアプランを作り上げて、それに沿った会社に転職していくことが人生に安定をもたらすことになります。
現在の自分の市場価値を知る方法
自分の市場価値を知る方法は大きく2つあります。
- 市場価値を診断するサービスを利用する
- 転職エージェントからの求人情報を見る
必要な項目を入力するだけで自分の今の市場価値を簡単に算出してくれるミイダスというサービスがあります。
現在の年齢や出身大学、今の会社の業界や業務内容を簡単に登録するだけで、転職後の想定年収を算出することができます。
これで今の年収と比較して、自分の市場価値がどれほどなのかを把握することができます。
個人的にはあくまで”指標として”利用する程度でとどめています。
実際は内定を取ってから、オファーをくれた企業との年収交渉で決まるので、ミイダスから算出された演習は、参考程度に知っておくぐらいで良いと思います。
もう一つはリクルートエージェントやdodaなどの転職エージェントから紹介される求人情報に掲載されている年収を見ることです。
転職エージェントは今のあなたの職務経歴や、今後のキャリアプランを確認しながら内定が取れそうな求人を紹介してくれます。
求人情報には、募集している職種の年収が書かれていることが多いです。
紹介された求人情報に掲載されている年収の幅が、今のあなたが得ることができる年収です。
自分の正確な市場価値を知るためにも、まずは自分のキャリアの棚卸と転職エージェントへの希望を伝えることが重要です。
これについては、以下の記事でも詳しく解説していますので参考に読んでみてください。
成長分野に自分で移動することができる
転職をすることにより安定する理由の2つ目として、成長市場へ自ら積極的に移動することが挙げられます。
1社でずっと働き続けるということは、会社の業績や、業界全体の景気によって、自分自身のキャリアや年収も悪い影響を受けます。
転職をいつでもできる状態にしておくということは、自分で成長する業界や会社を見極め、そういった会社に転職していくことが可能です。
言い方は悪いですが、沈みゆく船にいつまでも残り続けるか、スピードの速い船に乗り換えるかの違いです。
基本的に成長分野では、求人数が多く、年収も高い傾向にあります。
経済産業省が行ったIT関連産業の産業人口に関する将来推移(マクロ推計)によると、IT人材の不足が今後も続き予想が報告されています。
つまり、需要があるのに供給量が足りないという分野が出てきます。
ここでいう分野とは「業界」と「職種」で分けて考えると、明確になりやすいです。
上記のITエンジニアの例では、業界問わずテクノロジーを利用する(IT化)することが、経営において必須要件になっていることから「エンジニア」という職種の需要が高まっていることが分かります。
成長分野を見つけると、年収を上げた転職を連続して実現させることも可能になります。
私の例を挙げると、「セキュリティ」×「営業」で2回目の転職で大きく年収を上げることに成功しました。
1度目の転職では、セールス(営業職)からセキュリティ関係のコンサルタントへ転職しました。
この時は、セキュリティの需要が高くなっていることに気づきました。
営業職でテクニカルなスキルを持っているわけではないので、自身のコミュニケーションスキルやプレゼン経験などを活かして、セキュリティコンサルタントとして転職しました。
2度目の転職では、たまたまセキュリティ事業に力を入れていこうと考えている企業のセールスポジションに空きがあり、セキュリティを語ることができ、かつ法人営業の経験が豊富な人材など市場には皆無であったが、このポジションの求人とマッチしたため、大きく年収を上げることができました。(800万円 → 1400万円)
このように自分で成長分野を探し、企業の需要と自分のキャリアをマッチさせながら、転職をすることで、1社にとどまるよりも安定したキャリアを築くことができます。
年功序列型よりも高い年収を得ることができる
転職をすることで、今より高い年収を得ることができれば、将来的な貯蓄や投資に回せる余剰分を生み出すことができるため、安定します。
転職をすることで今より年収が下がる場合もありますが、これまで解説してきた内容を実践することで年収を上げた転職は十分可能です。
ごくごく当たり前のことですが、給料が高い会社に転職すれば、必然的に自分の給料も上がります。
同じことができても、所属する会社が違うことで、給与に差があるのです。
よく考えれば当たり前ですよね。
給料とスキルには相関関係ありません。(自分も最近気付きました…。)
1社にとどまり続ければ、その会社の給与のルールに従って、昇給していきます。(年功序列の場合)
しかし、同じスキルや業務経験をより高く買ってくれる会社があるのであれば、そちらでパフォーマンスを発揮すれば良いだけです。
業界別の平均年収などを見れば、だいたいどの業界の給料が高いかを把握することができます。
私が紹介してもらった求人情報でも、業務内容はほぼ変わらないにも関わらず、自動車部品の製造業では年収700万円だったのが、石油や金融(保険)の同じ職種では、800~1000万円となっていました。
つまり、人によっては今の業務内容をほぼ変えないまま、働く業界を変えるだけで年収が100万円~200万円アップする場合もあるということです。
1社に留まっているだけでは、決して知りえない他社の給料情報を転職活動をするだけで無料で手に入れることができます。
今の会社の給与形態しか知らずに、年数が経っても上がるかどうかすら不明な状況に居続けるか、自ら情報を取得し、確実に自分の年収を上げに行くか、どちらが安定しているかは一目瞭然だと思います。
転職により変化の波を乗りこなせる人が安定を得ることができる
ここまで終身雇用が崩壊した後の世の中では、転職するスキルを身に付けている人の方が逆に安定する理由について解説してきました。
最後にもう一度おさらいしておきましょう。
- 自分の市場価値を知ることができる
- 成長分野に自分で移動することができる
- 年功序列型よりも高い年収を得ることができる
市場の状況も変わり、自分の会社の状況も変わり、自身のスキルも変わります。
そういった中で、ずっと同じ環境に居続けることが果たしてベストな選択なのでしょうか。
もちろん、いろんな観点から今の会社に留まることが自分にとって一番良いと判断すれば、それも自分が納得できる道だと思います。
もし、これを読んだあなたが少しでも今の環境に不満や違和感があるのであれば、転職という方法を一度模索してみるのも良いと思います。
転職活動を始めるのは簡単です。
これまでの自分の経験を書き出すところから始めましょう。
詳しいやり方については、以下の記事で解説しています。
あなたの転職活動がうまくいくことを願っています。