転職活動を始めようと思ったときに、いきなり転職エージェントに登録して、エージェントと会う約束を取り付けようとしていませんか?
転職エージェントを利用するためにお金はかかりませんが、転職エージェント側もビジネスでやっているので、転職エージェントの方々のメリットが何なのかを考えて動かないと、相手にしてもらえない場合もあります。
こちらの都合ばかりを伝えても、あなたが転職エージェントにとって、あまり「うまみ」がない候補者だと、エージェント側もあなたに時間を使うメリットがありません。
そういった候補者にならないためにも、転職エージェント側のメリットも考慮しながら、こちらの言い分も伝えていく必要があります。
世の中には転職エージェントへの登録を促す情報ばかりが溢れていますが、一旦冷静になって、「転職エージェントに会う前にやっておく3つのこと」を意識しながら、自分の中身を整理してみることをおすすめします。
- 転職エージェントの仕事の仕組みを知る
- 今回の転職で獲りにいくモノを決める
- 自分のキャリアを棚卸する
この3つを事前にやっておくことで、エージェントとのコミュニケーションがスムーズにいくようになり、うまみのある転職候補者であることを伝えることができます。
それでは詳しく見ていきましょう。
転職エージェントの仕事の仕組みとは
まずは転職エージェントやヘッドハンターと呼ばれる人たちがどういったビジネスモデルで仕事をしているかを理解する必要があります。
冒頭でも少し書いた通り、転職エージェントやヘッドハンターにとって、メリットのある(=時間を使う意味がある)転職候補者であることが、より良いサポートを受ける条件になります。
非公開の求人や、年収の高いポジションの紹介を優先的に受けるためにも、転職エージェントやヘッドハンターの働き方を理解しましょう。
転職エージェントやヘッドハンターは、候補者からお金をもらうことはありません。
その代わりに、求人を出している企業に転職候補者を紹介し、内定が出て、入社が決まったタイミングで、内定者の転職後の年収の約20%~30%が報酬として転職エージェントやヘッドハンターに支払われます。
年収800万円の転職を仲介した場合は、その転職エージェントに160万円~240万円が支払われます。
こういった仕組みで動いている転職エージェントやヘッドハンターたちが、報酬を得るために考えることは以下の2点です。
- 高年収なポジションに特化して紹介する
- 内定を獲得しやすいポジションに多くの候補者を紹介する
簡単に言うと、高年収狙い撃ちか、一般的なポジションへの絨毯爆撃かです。
ここでいう高年収は800万円以上だと考えておいてください。
500万円~700万円が中間層です。
自身の今の年収と、次の転職で狙う年収によって、会う転職エージェントが考えていることが変わります。
年収800万円以上のポジションを狙う場合は、そもそも求人数も少なく、候補者も少ないので、転職エージェントは候補者が内定を取れるようにじっくりサポートしようとしてくれます。
1人あたりの報酬が大きいので、サポートを手厚くして(=時間をかけて)も、問題ありません。
中間層やそれ以下の場合は、転職エージェントも一人当たりの候補者にかけられる時間が多くないので、転職のサポートというよりは、企業へのエントリーや、面接日程の調整を代行する程度で、「とりあえず受けてみましょう」といったスタイルになります。
ですので、今の自分の年収や、次のポジションの年収で、どのあたりを狙っていくかを事前に決めておく必要があります。
ここを理解していないと、エージェントに会ったときに、「思ったよりサポートしてくれない。」「冷たくあしらわれた。」などという結果になりかねません。
今回の転職で自分は何を手に入れるのか
転職エージェントやヘッドハンターの頭の中身を理解することができたら、次は自分の理解に進みます。
転職を考えている私たちは、今回の転職で何を手に入れようとしているのでしょうか?
これは「なぜ今回転職しようと考えているのか?」という質問に対する答えの準備でもあります。
この質問は、転職エージェントやヘッドハンター、企業の面接官から必ずと言っていいほど聞かれる質問です。
この質問への回答次第で、転職の本気度などを測ることができます。
転職エージェントの仕事の仕組みを理解した人なら、もうお分かりだと思いますが、本気度の低い候補者を相手にする時間は、エージェントにはないので、回答次第で冷たい対応をされる可能性があるということです。
転職を考え始めるきっかけは人それぞれです。
自分の転職の目的を明確化するときの手順は以下の2つのステップで考えるのがおすすめです。
- 現状の「不満」の具体化
- 「不満」から「要望」への転換
この2ステップで、今回の転職で自分が何を獲得しようとしているのか、自己理解を深めましょう。
現状の「不満」を具体化する
転職はきっかけは、人それそれですが、共通しているのは、現状に何かしらの「不満」があることです。
一般的な「不満」の例は以下の通りです。
- 周囲と比較して、年収が低い
- 仕事を進める上で、上司とそりが合わない
- 今の会社に将来性が感じられない
- 専門的なスキルを身に付けることができない
- 激務すぎて家族との時間を作ることができない
転職を考えるときには、自分が抱えている「不満」の正体を具体的に考えることが重要です。
不満に感じている部分が、今回の転職を考えるきっかけになった根本原因だからです。
一度、自分の中で転職を考え始めたきっかけとなった「不満」を客観的に分析にしてみてください。
「不満」を「要望」に転換する
不満が明確になった後は、その不満の解決方法を考えます。
そして、その不満の最適な解決方法が「転職」であるならば、今回の転職活動を本格化させて良いでしょう。
どういうことかを具体例を挙げて説明します。
◆自分の今の上司と合わない場合
上司と合わない理由が何なのかを具体的に考えていきます。
[現状の不満]
上司の仕事の進め方や、性格が非常に細かくマイクロマネジメントである。
自分はある程度、業務もこなせるため、細かくマネジメントされることにフラストレーションが溜まっている。
[要望]
上司を変えたい。
[解決方法]
1. 自分が部署を異動する。
2. 上司が異動する。
3. 転職する。
「不満」の解決方法としては、何が最適なのかを考えていきます。
比較的、規模の大きい企業であるならば、部署の異動が叶い、上司が変わると「不満」は解消されるのかなど。
今の会社や年収に不満はない。上司以外の人間関係も良好。
会社も売上は安定しており、倒産の危機はないと考える。
こういった場合は、異動願を出してみるのも方法の一つです。
今の会社の中でのキャリアを考えていくパターンです。
上記の例の場合は、会社内の部署異動で「不満」が解決しそうです。
このように必ずしも「転職」が最適な不満の解決方法ではない場合もあります。
本当に「転職」する必要があるのかを自分の中で問いただしてみてください。
次の例を見ていきましょう。
◆激務で家族との時間などワークライフバランスがとれていない場合
[現状の不満]
会社の規模は小さく、一人当たりの業務量が非常に多く、激務が常態化している。
裁量は大きく、業務に対する責任もあるが、結婚して子供ができたので、家庭を顧みる時間も確保したい。
[要望]
業務時間を短くしたい。(残業は1時間~2時間程度に抑えたい)
年収は100万円~150万円なら下げても良いので、家族との時間を確保したい。
[解決方法]
1. 上司に自分の要望を伝える。
2. 転職する。
上記の例の場合だと、会社の規模が小さいので、部署を異動しても同様の激務の状態が続くと予想されます。
また、上司に相談するという選択肢もありますが、この場合、業務の状況からして、上司のマネジメント能力の問題なのかどうかは、周囲の業務状況も鑑みて、判断する必要がありそうです。
周囲も自分と同様に、遅くまで残業している場合は、上司に相談しても意味はなさそうです。
また、今は残業手当で年収が高くなっていますが、その分を差し引いても時間を確保したいということであれば、現状の不満を解決できる方法は「転職」が最も適していそうです。
2つの例を見てきましたが、「転職」が必ずしも自分も不満を解決するための最適な方法にはなりえない場合もあります。
しっかりと「なぜ今回転職しようと考えているのか?」という質問に回答できる準備をしておきましょう。
自分がこれまで積み上げてきたキャリアを棚卸する
最後の3つめは、自分のキャリアの棚卸です。
キャリアを棚卸する際に考えるべきことは以下の3つです。
- これまで経験した部署、役職ごとに期間を洗い出す
- 期間ごとに自分があげた実績(成果物、売上など)を書き出す
- 実績をあげるためにつかった自分のスキルを書き出す
これを社会人になってから今までの分をすべて書き出すことがキャリアの棚卸になります。
一度もやったことがなく、ゼロからこれをやる人は結構しんどいですよね…。
そこで使える材料があります。
それは、会社の「目標設定シート」です。
会社によっては、作っていないところもあるかもしれませんが、ほとんどの企業では上司と部下で、期の最初と最後に目標設定と、目標の達成度合いを確認する時間が設けられていると思います。
その際に用いられる目標設定シートを見返すと、自分が達成したこと(=実績)や、身に付けたスキルなどを読み取ることができます。
この「目標設定シート」を使うことで自身のキャリアの棚卸を少しだけ楽に行うことができます。
また、このキャリアの棚卸の作業は、そのまま「職務経歴書」を作る上でのベースになりますので、やっておいて損はないです。
「職務経歴書」は転職者が必ず作成する書類ですので、キャリアの棚卸はやっておいて無駄になることはありません。
「職務経歴書」の書き方については以下でも解説していますので、気になる方は読んでみてください。
(年収1,400万円の転職を成功させた私の職務経歴書のサンプルも載せています。)
転職エージェントに会う前の事前準備が必要不可欠
転職エージェントやヘッドハンターに会う前にやっておくとと良い3つのことについて解説してきました。
転職エージェントに会うのは転職活動のかなり序盤です。
しかし、転職エージェントに会うのはスタートではありません。
スタートは、この記事で紹介した3つのことになります。
ここで最後におさらいしておきます。
- 転職エージェントの仕事の仕組みを知る
- 今回の転職で獲りにいくモノを決める
- 自分のキャリアを棚卸する
転職エージェントを、単に無料で転職をサポートしてくれる人だと思わず、相手のメリットも考えながら、自分の活動を最大限サポートしてもらえるように動きましょう。
この3つを事前にやってからエージェントに会うことで、「うまみ」のある候補者であると認識してもらうことができ、結果的に自分の転職活動に対し、最大限のサポートを受けることができるでしょう。
キャリアの棚卸までが完了し、転職活動をスタートさせるときには、ビズリーチを使うことをおすすめしています。
無料で優秀なヘッドハンターと連絡が取れるサービスです。
ビズリーチをうまく使うためのポイントをまとめた記事もありますので、良かったら読んでみてください。
あなたの転職活動がうまくいくことを願っています。