こんなことを思ったことはありませんか?
自身のキャリアを描いていく上で、できる仕事の種類が増えることは良いことだと思います。
しかし、誰でもできる仕事の種類を増やしたところで、自分のキャリアの価値は上がっていきません。
この記事では、自身の市場価値を高めていくために必要な、仕事の幅の広げる転職について解説します。
- 仕事の幅を広げる目的を明確にする。
- 汎用性と専門性を理解する。
- 雇い主にとってのメリットを明示する。
それでは、詳しく説明していきます。
仕事の幅を広げる目的を明確にしよう
まず、なぜ仕事の幅を広げる必要があるのでしょうか。
仕事の幅を広げる目的が自分の中で明確になっていないと、面接時に転職の理由や、志望理由を明確に相手に伝えることができません。
後から説明しますが、自身の業務範囲の広げ方には2種類あります。
- 業務の幅を広げる(横の広がり)
- 業務の深さを深める(縦の広がり)
横の広がりは、できる業務の種類を増やしたり、汎用性の高いスキルを身に付けるイメージです。
一方、縦の広がりは、できる業務の種類を増やさずに、自身の専門性を高めていくイメージです。
どちらにもメリット、デメリットがありますが、今回の転職で自分がどちらをイメージして、キャリアアップを図ろうとしているのかを自分自身でしっかり理解しておくことが重要です。
ここであまり誰も言わないことを、書いておきます。
仕事の幅を広げたくて、転職活動をしているということは転職エージェントにも面接官にも言わない方が無難です。
基本的に仕事の幅を広げたいというのは、自分自身の勝手な言い分です。
転職エージェントからしても、面接官からしても、それを聞かされたところで「ふーん。」以上の感想は出てこないでしょう。
特に面接官からすると、実力も不明なままで勉強だけさせるような人材はとりたくありませんよね。
例えば、外資系のコンサルティングファームに入ってロジカルシンキングや、パワーポイントでの資料作成スキルなどの汎用性の高いスキルを身に付けて、仕事の幅を広げたいと考えていたとします。
そこで、それをそのまま転職エージェントや面接官に言うと、あまり印象は良くないでしょう。
面接官から「身に付けてから再度受けてください。」と言われてもおかしくありません。
ですので、転職エージェントや面接官に対しては、上記のような本音は言わずに、現状の実績とスキルだけを語るようにしてください。
転職エージェントや面接官とのコミュニケーション方法については以下の記事でも詳しく解説しています。
しっかりと、自分の中で仕事の幅を広げる目的を明確にしてみましょう。
上記の本音と建前の準備も忘れずに。
汎用性の高いスキルと専門性の高いスキルを分けて考えよう
上のパートでも少しだけ説明しましたが、スキルの取得には2つの考え方があります。
- 業務の幅を広げる(横の広がり)
- 業務の深さを深める(縦の広がり)
転職をきっかけにどちらに(もしくは両方ともに)キャリアアップするのかを事前に考えておきましょう。
汎用性の高いスキルには以下のようなもの挙げられます。
- 論理的思考力
- スライドライティング
- プレゼンテーション
- ファシリテーション
- 議事録作成
- 要件確認, etc.
上記のようなスキルは、どのような業界でも、どのような職種でも必要とされるスキルです。
優秀なサラリーマンと言われる人たちは総じて上記のスキルが高いです。
文字にしてみると基本的なことに見えるかもしれませんが、このスキルを売り物にしている職種があるぐらい、実は重要です。
これらのスキルを売りモノにしているのが、コンサルタントです。
コンサルタントは上記のベーススキルに加えて、自身の専門分野を掛け合わせて価値を発揮します。
ですから、一度コンサルタントを経験すると、その後のキャリアには大きなプラスになります。
採用する側からしても、本来なら月額数百万円かかるコンサルタントを、月給数十万円で雇えるのであれば、こんなおいしいことはありません。
だから転職市場では、コンサルタントを経験しておくと、非常に有利に転職市場を進めることできます。
専門性については、職種や所属する会社の業界、ジャンルによります。
最近だと、データ分析、情報セキュリティ、デジタルトランスフォーメーション、デジタルマーケティング、各業界知識など市場から求められている専門的なスキルは数多くあります。
それでもやはり、IT系に寄っているのは否めないですね。
自分の専門性を確立しつつ、汎用性の高いスキルを獲得しに行くか。
汎用性の高いスキルを身に付けた後で、専門性を深めに行くか。
今の自分のキャリアを棚卸してみて、今後のキャリア戦略を練っていくことが重要です。
ちなみに私の場合は、1回目の転職はかなり無理をしました。
専門性と汎用性を両方獲得するために、外資系のコンサルティングファームのセキュリティコンサルタント職に転職しました。
IT系の法人営業職からセキュリティコンサルタントへの転職だったため、転職当初は非常に苦労しました。
無事に転職し、生き残ることができ、短期間で汎用性・専門性を獲得することができましたが、あまり再現性がないため、おすすめはしていません。
基本的には、今の自分の業務内容から得られたスキルをベースに、汎用性もしくは専門性のどちらかを強みとして打ち出して、これから獲得したいスキルを得ることができる転職がおすすめです。
仕事の幅を広げることによる雇用主のメリットは何か
いきなり結論ですが、私たちが仕事の幅を広げるための転職について、企業側から見たメリットはほぼありません。
仕事の幅を広げるための転職は、自分にとってはもちろんメリットがあります。
しかし、採用する側の企業からすると、それを全面に出して面接に来られると、おそらく採用したくないでしょう。
もちろん、採用した人の成長は、企業側からすると期待したいところではありますが、現状のスキルでパフォーマンスが出せそうにない人を採用はしたくありません。
転職を考えている人は、現状のスキルと実績を全面に打ち出して、面接を受けるポジションで、どのようなパフォーマンスを出すことができるかを徹底的にアピールすることが重要です。
スキルと実績を紐づけて、転職先の会社でも同様の実績を上げることができる(再現性がある)ことを伝えることができれば採用される可能性が大きく上がります。
自分の仕事の幅(キャリア)を広げることは、「裏テーマ」として面接の準備をすることをおすすめします。
この「裏テーマ」は転職エージェントにも伝えることは控えた方が良いです。
私の場合、転職エージェントには、キャリアの方向性だけを示して、そのメリット・デメリットを参考に聞く程度にしていました。
あくまで判断するのは自分であり、転職エージェントは情報元の一つとして考えています。
転職はキャリアの選択肢を増やす方法の一つ
ここまで自分の仕事の幅を広げるための転職方法について解説してきました。
改めてポイントを整理しておきます。
- 仕事の幅を広げる目的を明確にする。
- 汎用性と専門性を理解する。
- 雇い主にとってのメリットを明示する。
最後のもう1点だけお伝えすることがあります。
それは、キャリアアップの方法は決して転職だけではないということです。
同じ会社でも、大企業であれば部署を変えるだけでも自分が欲しいスキルや経験を得ることができます。
英語を使った業務につきたい場合、わざわざ外資系の企業に転職しなくて、海外への異動を希望することもできるでしょう。
営業だった人が、その当時の経験を活かして、商品企画に異動することもできるでしょう。
転職は、得られるメリットも大きいですが、リスクも大きい選択であることは理解をしておくべきでしょう。
しかし、同じ会社での部署異動は実現するまでに非常に時間がかかります。
これは大きい会社になればなるほど、時間がかかります。
人事異動は基本的には”玉突き”(誰かの異動をきっかけに誰かが異動する)なので、自分で異動のタイミングをコントロールできません。
その点、転職は自分でキャリアを変更するタイミングをコントロールすることができます。
私は、自分が欲しいスキルや経験、それに基づく年収は、自分で獲得しに行くべきだと考えています。
また、終身雇用が崩壊した状況において、企業側に自分のキャリアを依存させるのは非常に危険です。
自分のキャリアの決定権は、自分自身の手に収めておくべきでしょう。
このような点からも、あくまで転職はキャリアの選択肢を増やす方法の一つですが、非常に有効な手段であると言えます。
あなたの転職活動がうまくいくことを願っています。